10:青空に星

「え〜…っと」
「じゃあ、返事待ってる」
「え?あ、ちょっと!」



私に少し小さめの手紙を渡すと、上級生の彼は足早に去って行く。もちろん私は受け取るなんて一言も言ってないし最初からきちんとお断りしていた。



「なんて一方的な人なんだ…」



やっぱり気分転換とか言って授業サボった罰が当たったのかな?これ、どうしたらいいんだろう。つきちゃんに相談するべき?



「1人じゃどうしようもないし、あとで相談しに行こう」



とりあえず手紙をポケットにしまってベンチに横になる。今日は雲1つない青空。天体観測するには持ってこいな日だなー、なんて思いながら私はいつの間にか爆睡してしまい起きた時にはすでに昼休みだった。



「しまった…!」
「あ、葵ちゃん居た!!」
「うわ…っ!」
「今までどこに居たの!?私すっごい探したんだから!」
「ご、ごめん!1時間だけのつもりが爆睡しちゃって、」
「葵?まさかここでずっと寝てた、なんて事はないよな?」



あまりにも錫也の笑みが怖くて、私は自ずとベンチに正座した。これもうお説教だよね。てかされない訳がない。



「葵にはもう少し自覚って物をしてもらわなきゃな。これじゃ何かあっても文句は言えないぞ」
「す、すいませんでした…」
「葵もバカだよなー。つか、どんだけ寝りゃ気済むんだよ」
「哉太にだけはバカって言われたくない!」



ちくしょう。足さえ痺れてなきゃ錫也直伝のヘッドロックかけてやったのに…。あ、ヤバい。これ立てない、かも?



「す、錫也さん?」
「葵はいつもそうだ。何回注意したって…」
「錫也!」
「ん?」
「あの、ね?足痺れて…もう無理っ!!」
「おわっ!!」



ひとまず正座をやめようと足を崩した瞬間、一気にびりびりっときてバランスを失い哉太に向かって倒れてしまった。



「お、おい!大丈夫か?」
「あぁ〜…びりびりするー…」
「ごめん葵!全然気づかなかった」
「錫也のせいじゃないよ。私が勝手にしてただけだか…らっ!!?」



徐々に足の痺れをなくそうと努力している私に、羊くんが容赦なく攻撃を仕掛けてくる。足つんつんしないで!めっちゃびりびりって、びりびりって!!



「あははっ!葵の反応面白〜い」
「よ、羊く…ん」
「自業自得じゃんか。僕達の心配を余所に寝てた罰だよ」
「そーだそーだ!羊、もっとやれ!」
「羊くん!哉太もやめてあげてよ!」
「いやぁあーー!!」



一斉に2人で足を攻撃してきて、それを避けられない私はただただ受ける事しか出来なかった。逆に突かれ過ぎたせいで痺れが治ってきたよ?これ、反撃していいよね?



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テーマ「人外ファンタジー」
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