07:雪降る夜 君想い

「失礼しまーす…」



さっきの電話じゃ物凄く騒がしかったのに、いざ生徒会室に来てみれば逆に物凄く静かだった。ちょっと警戒しながら扉を開いても中には誰も居ない。



「つきちゃーん」



つきちゃんの名前を呼んでももちろん返事はなくて、どうしたもんかと悩んでたら突然扉がばんっ!!って音をたてて開け放たれた。



「葵ちゃん居た!!!」
「へ?つ、つきちゃん?」



肩で息をしてるつきちゃん。葵ちゃん居た!って、生徒会室に呼んでおいてまさか探してた訳じゃないよね?



「あのねっ、こ、小熊くんが、」
「つきちゃん落ち着いて。小熊くんって、弓道部の子でしょ?何かあった?」
「小熊くん、私のせいで今3年生の人に絡まれてるのっ!!私どうしたらいいかわからなくて、」



この学校、上級生が下級生に絡む事件多くないですかね。ましてや3年が1年に絡むなんて何を考えてるんだか。



「小熊くん、今どこに居るの?」
「弓道場の近く…」
「私ちょっと行ってくるね」
「葵ちゃん1人で行くの!?宮地くんとか錫也達呼んだ方が、」
「探して呼んでる時間ないよ。つきちゃんはここに居て。絶対来ちゃダメだよ!」



一方的に言い残して私は生徒会室を出た。弓道場ってここからちょっと離れてるよね?私を呼んどいて何しに行ったんだろ…全く手のかかる子だな〜。



「…あ、あれかな?」



少し駆け足で弓道場までの道を行く。その途中で小動物みたいに怯えてしまっている小熊くんを、取り囲むように立ってる上級生を見つけた。あれ、完全にリンチだよね。



「小熊くん!!」
「え…?あっ…紫乃先輩っ」
「大丈夫!?」
「おいおい小熊〜。なに、お前紫乃さんともオトモダチなワケ?」
「小熊のクセに生意気だな」
「ぼっ、僕は…」



相手が丸腰な下級生だからなのかそれとも数で勝ってるからなのか、どちらにしろこの人達はどこか余裕で私と小熊くんを見下していた。



「先輩方って卑怯ですね」
「あ?」
「寄ってたかってこんな丸腰な小熊くんをいじめてるんだから」
「いじめてなんかねーよ。ただ…い゙ッ!!?」
「…ただ、なに?」



私は小熊くんの襟を掴んでいた上級生の手首を思い切り捻った。ぐきって音がしたからきっとかなり痛いと思う。まぁ、痛くしてやったんだけどね。



「てめぇ!!!」
「葵!!」
「ん?…あ、龍に金久保先輩。あずまで居る」



つきちゃんが呼んだのかな?龍と金久保先輩、あずは私達の方に向かって走ってきた。龍はなんか焦ったような顔してるし金久保先輩は黒い笑みを浮かべてるし、あずはもう不機嫌さMAXって感じ。



「げっ…金久保、様…」
「君達、紫乃さん達に何をしてるのかな?」
「い、いや…これはですね」
「…話しは後でじっくり聞くよ。とりあえず今は去ってくれないかな」
「はっ、はい!!!」



金久保先輩と同じ科の人達だったのか、金久保先輩の一言で全員走って校舎の方へ消えていった。その前にすんごい気になるんだけど金久保様ってなに?え、様付け?




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