04:黄昏過ぎて 夜乞う


「つきちゃん!!」
「あ!葵ちゃん!」



移動教室の帰りに前から大好きなつきちゃんが歩いてくるのがはっきり見えた。龍と弥彦には先に行っててもらって私はつきちゃんに抱き着きに行く。



「昨日弓道部行ったのにつきちゃん居なくて寂しかったよ」
「ごめんね。生徒会の仕事が終わらなくて」
「つきちゃんこき使われてない?あの生徒会長暴君だから…」
「だーれーが暴君だって…?」



誰がってそんなの決まって…って、なんか後ろから殺気?殺気って言うか威圧感的なのがものすごく感じられるんだけど。



「……あー、不知火先輩…?」
「そうだ。言っとくが俺は暴君なんかじゃないからな」
「わかってますって」
「絶対わかってないだろ!…ったく。月子、放課後生徒会室に集合な」
「わかりました」



暴く…じゃなくて不知火先輩は「じゃあなー」ってひらひら手を振りながら去って行った。不知火先輩って神出鬼没な人?心臓ばくばくだよ。それにまたつきちゃんの事こき使おうとするし!



「葵ちゃん、教室に戻ろう?」
「…うん!」



まぁ、つきちゃんが大変そうだったら私も手伝えばいっか。何気デスクワーク得意だからね、私。



「お、葵じゃん」
「哉太だ!」
「今日も月子にベッタリか?」
「今日もって、昨日はつきちゃんに会ってないよ錫也」



つきちゃんにくっついて天文科の教室に行けば「おー!」とか「紫乃さんだ!」とかたくさん聞こえた。何をそんなに騒いでるんだ?



「あ、葵にいい物持ってきたぞ」
「いい物?」
「うん。ちょっと待ってな……はい、これ」
「あ!この間食べたいって言ってたクッキーだ!」
「今日の弁当作るついでに作ってみたんだ」



少し大きめの袋に入ってたのはこの間お菓子の本を見てる時に、私が食べたいなって思ってたクッキーだった。錫也ってば本当に優しいよね。わざわざ作ってくれるんだから。



「よかったね、葵ちゃん」
「うん!」
「なーなー錫也。俺らにはねーの?」
「そう言うと思ってちゃんと作ってきたよ」
「さっすがオカン!」
「…オカンって言う奴にはやらないぞ」



その一言で哉太が慌てて訂正する。私も錫也はオカンだと思うんだけどな。心配性だしプロ並に料理上手だし。そんな事言ったら手元にあるクッキー没収されちゃうから言わないけど。



「あれ、宮地じゃん」
「本当だ」
「ふぇ?」
「食べながら喋るんじゃない」
「んぐっ…ごめんなさい」
「それより行った方がいいんじゃないか?葵の事待ってるみたいだぞ」



教室の時計を見ればもうすぐで授業が始まる時間だった。迎えにきてくれたのかな?だったら早く行かなきゃ。



「つきちゃん!またお昼にね!」
「うん!」
「錫也もクッキーありがとう」
「どういたしまして」
「哉太は…うん、またね!」
「おいっ!!」



星座科も好きだけど天文科もいいなぁ。弄りがいのある哉太いるし料理上手な錫也もいるし、何よりつきちゃんがいるし。でも何だかんだ星座科が1番かな。さてと、お昼も近い事だし授業頑張ろっと!




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