03:降り注ぐ 雨

本当だったらこのあと寮に帰って寝る予定だったんだけど、弥彦と隆文に無理矢理誘われて弓道部に行く事になった。私の貴重な睡眠時間を奪うなんて、これ明日の昼奢りだな。



「ぶちょー!」
「ん?あぁ、犬飼くんに白鳥くん」
「今日は紫乃も連れてきました!」
「本当だ。紫乃さんも来てくれたんだね」
「いや…これは隆文と弥彦が、」
「ゆっくりしていってね」



金久保先輩。私の言う事スルーですか。ゆっくりしていってって言うけど私今物凄く眠たいんですよ。



「とりあえずそこら辺座ってろよ」
「弥彦…私眠たいんだけど…」
「んじゃ俺練習行くな〜」
「聞けっつの!!」



そうか。弓道部の皆さんはスルースキルが大変高くていらっしゃるんですね。こうなったら意地でも起きててやるんだから。でも矢が的に当たる音聞いてるとなー。



「…やっぱ無理、かも」



だんだん瞼が重くなって結局私は寝てしまい、龍に起こされたのが部活終了時間で自分で自分が恥ずかしくなった。



「いやー、いいモン見れた」
「何それ。どうゆう事よ」
「お前の寝顔はこの携帯に納めさせてもらったぜ!!」
「いっ、今すぐ消せー!!!」
「犬飼!葵!煩いぞ!!」



隆文の携帯を奪おうと躍起になってたら龍に怒られてしまった。私が悪いんじゃない、勝手に人の寝顔撮るこいつが…。



「…もしかして」
「なんだ?」
「今日無理矢理誘ったのって、これの為…?」
「あ、バレたか」
「たーかーふーみぃー!!」
「お前らいい加減にしないか!」



龍に怒られようがなんだろうが絶対その写メ消させる。人の寝顔なんて携帯に納める物じゃないから。それから隆文と戦ってたけど自分より身長ある奴には勝てなくて、結局龍に助けてもらった。



「葵先輩も大変ですね」
「あ、梓くん」
「いい加減、くん付けやめてくれません?」
「んー、梓くんがその似合わない敬語やめてくれたらやめるよ?」
「…似合わないとか言わないでくれる」
「あははっ、あずが怒ったー」



宇宙科1年の木ノ瀬梓は弓道部期待のエースで私の幼なじみ。1つ上の私に敬語なんて使わなかった癖に高校に入った途端いきなり使い始めて驚いた。やめろって言ってもやめないからせめてもの反抗でくん付けで呼んでる。



「あず終わったら一緒に帰ろー」
「それは案に僕に送れって言ってるよね?」
「優しいあずなら送ってくれるでしょ?」
「…そう言えば従うと思ってるだろ」
「だって本当の事じゃん」



文句言いながらもあずはちゃんと寮まで送ってくれた。昔からそう。いくら私に悪態つこうが言った事は必ず守るし何かあったら助けてくれる。どっちかって言うと幼なじみより兄弟って感じかな?とりあえず今日は疲れたから寝よう!














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