02:花びら 舞う
「葵、おはよー!」
「おはよう謙ちゃん!」
直ちゃん先生ったらあんなに長い説教しなくたっていいのに。そんな事をぶつぶつ言いながら歩いていると天文科で大の仲良しの粟田謙介こと謙ちゃんに会った。
「しょんぼりした顔してたけど、何かあったのか?」
「それが直ちゃん先生にぷちお説教されちゃってさー」
「直獅が葵に?」
「資料の提出時間ぎりぎりだったから…」
廊下走っちゃって。そう言えば謙ちゃんは「相変わらずだな〜」なんて言いながら頭を撫でてきた。うん、謙ちゃんに頭撫でられると落ち着くなー。
「そろそろ教室行くか」
「そうだね。…あれ、龍だ!」
「葵の事待っててくれたんじゃない?…ほら」
天文科の教室近くに龍がいて私の方に駆け寄ってきた。その間に謙ちゃんは「またな」って頭を撫でて教室に入ってく。
「葵!」
「龍、さっきぶり〜」
「お前はこんな時間まで何してたんだ!」
「へ?何って…言われますと?」
何してたんだと言われてもこの数十分の間にいろいろありすぎて、どれを話せばいいのかわからないよ?てか、龍怒ってる?怒ってるのか?
「龍怒ってる…?」
「いや、別に怒ってはない。…ただ」
「ただ?」
私が聞き返せば少し頬を赤くして「な、なかなか来ないから心配しただけだ」って。そうだよね、いつもだったら教室で弥彦とバカ騒ぎしてる時間だもん。
「心配かけてごめん」
「何もなかったならそれでいい」
「…ありがとう」
HRが始まる前に教室に入るとクラスの皆に「やっと来たよー」とか「紫乃が居ないから退屈だったよ」とかたくさん言われた。私と弥彦のバカ騒ぎがこんなにクラスに浸透してるとは思わなかったなー。
「葵!お前遅いぞ!」
「ごめんごめん。直ちゃん先生に捕まっちゃってさ」
「なんだ?なんか悪ーい事でもやらかしたのか?」
「弥彦と違って私良い子だから悪ーい事なんてしませんよ!」
「なーにーが良い子だ。この間犬飼に、」
「ストーップ!!弥彦それはナシ!」
慌てて弥彦の口を塞ぐ。危ない危ない。龍がいる所で隆文にロシアンルーレットしようとした事話されちゃ困る!!
「んぐ…っ…」
「葵、そろそろ離してやれ。白鳥が死にそうだぞ」
「はっ…忘れてた」
「ぶはっ!!…お前…俺を殺す気か!?」
「だーいじょぶ!弥彦は殺しても死なないから」
「お前が言うな!」
こうして騒げば皆は笑って先生もいつの間にか来ていて私達に「いつも元気だな〜」って言ってくる。星座科の朝は私と弥彦のバカ騒ぎから始まると言っても過言じゃない。
「あー、HR始めるぞー」
「「はーい」」
今日も先生のゆるーいHRから1日がスタートした。