01:雪落ち 融ける

小さい頃から星を見る事が大好きで、将来は星に関係する仕事をしたいと思ってた。今も勿論その気持ちは変わってなくて去年の春に星に関するスペシャリストを育成する星月学園に入学した。



「あ、弥彦じゃん」
「おー、葵!」
「今日も朝練行くの?」
「まぁな。宮地に誘われたら行くしかないし」
「そんな事言ったら龍怒るよ?」



弓道部に所属する弥彦は同じ星座科の友達でよく一緒にバカやったりする仲。最近はインターハイが近くなってきたせいであんまり騒げてないけど。



「む…葵か」
「龍!おはよう」
「おはよう。白鳥と一緒だったんだな」
「さっき会ったんだー。龍も朝練なんでしょ?」
「あぁ」
「宮地!そろそろ行こうぜ〜」
「2人共頑張ってね!」



弥彦と龍を見送ると私は真っ先に保健室に向かった。朝の保健室はとても静かで結構お気に入りの場所。星月先生には勝手にくつろぐなって怒られたりするけど、何だかんだ居させてくれるから優しい。



「…また来たのか……」
「そんな嫌そうな顔しないで下さいよ」
「本当に毎朝よく来るな」
「星月先生に煎れてもらうお茶が楽しみなもんでつい」



私が毎朝保健室に通う理由。それは星月先生が煎れてくれるお茶を飲む為。他の人からしたらおかしな理由かもしれないけど、本当に星月先生のお茶美味しいんだよ?私これの為に早起きしてるんだから。



「ほら」
「ありがとうございまーす」
「それ飲んだら教室行けよ?」
「わかってますって」



猫舌な私の為に少し温めに煎れられたお茶を私はしっかり味わいながら飲む。これで和菓子とかあったら完璧なんだけどなー。そんな私の考えがわかったのか星月先生は笑っていた。



「菓子が食いたいなら東月にでも作って貰えばいいだろう」
「…よく私の思考がわかりましたね」
「お前の事なら大抵わかるよ」



おわっ、今の台詞を言うのが星月先生じゃなかったら鳥肌モンだ。お茶を啜りながら少し話しをしてると扉が勢いよく開く音と聞き慣れた声がした。危ない危ない、ビックリしてマグカップ落とすところだった。



「なっ、なに…?」
「お、葵居るじゃん」
「…哉太?」
「錫也!葵居たぞー」
「哉太…もう少し静かにできないのか」派手な登場をしたのは哉太だった。後ろの錫也なんて頭抱えちゃってるよ。



「直獅センセーが葵の事探してんぞ」
「直ちゃん先生が?」
「昨日頼んだ資料が何とかって言ってたぞ?」
「…あー!!朝一で提出しなきゃいけないんだった…」



まずい。めちゃくちゃまずい。呑気にお茶飲んでる場合じゃないよ、私!



「星月先生!今日はこれで失礼します!」
「あぁ。廊下は走るなよ」
「わかってます!」



わかってるなんて言ったけど実際走らないと提出間に合わないよね?星月先生ごめんなさい。私は全力で走ります!



「あ、葵!」
「あいつ朝から元気だな〜」
「哉太、発言が年寄りくさいよ」
「なっ…!オカンに言われたくねーよ!」
「オカンって言うな!!」



後ろで錫也と哉太がそんな会話をしてるのにも気づかず私はひたすら走り続けた。おかげでなんとか間に合ったけど、直ちゃん先生に廊下を走った事がバレてぷちお説教されてしまった。





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