凄い人だと思った。
何を考えてるかわからなくて、時々あまりに変な事を仕出かすような人だけど。
凄い人だ。見習わなきゃなあ。そう思って、ずっと傍に居た。傍に居れる限り、ずっと傍に居た。そうして幾日か過ぎ、自信満々で迎えたテスト。点数は70点だった。
……あれ。



この人を見上げる事が多いなあ、とはたと気づく。
空よりも、鳥よりも、屋根よりも、この人を見上げている事の方がずっと多い。
ならば、虫けらより影法師より畳より、この人に覗き込まれる存在になりたい。
今日も後ろについて歩く僕に、先輩はきょとりとしながらも何も言わなかった。



堂々と紅く100点の字。
誇らしげに先輩にそれを見せると、先輩はそれで紙飛行機を折り始めた。
肉刺だらけの掌で適当に成されたそれをふうっと窓から放つ。
「綺麗だね」と先輩が言うから、それが僕の答案用紙である事も、放たれたそれが六年生にぶつかった事も、まるでどうでも良く思えた。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -