神崎左門


直線というものは魅力的なものである。
ぶれる事もねじまがる事もなく真っ直ぐに続いてゆく一本の線は、ひどく美しく、あまりにも確立した存在なのだ。
誰も其の線を途切れされる事はせず、しようとも思わない。

神崎左門とは確かに直線であった。

駆ける彼の後姿は本当に自由で、迷いが無く、強い意志だけが在る。
その隣に並び駆けて行こうだなんて考える奴は誰一人だって居なかった。
ただ直線の辿り着く場所にはいつだって、富松作兵衛と次屋三之助の二人が居た気がする。
つまりはそういう事だ。
彼は常人が手を伸ばすには遠すぎる。近い様でいて、どうしたって届かない。
どれだけ指先を引っ張っても、切り離してみせたって触れられず。落ちた指先に彼は目もくれないのだろう。
走って、走って、もう見えない場所まで到達してしまっているのだろう。

大きく張り上げた声は、疲労を示したり助けを乞うたりなんてしない。
自分の向かう先を宣言するのみだ。
勇ましく凛としていて、人ではない様な彼は、今も何処かの道を自分の思うままに駆けているのだ。
成る程、彼の姓は、人ならざるものを形作っていた。




左門ちゃんだいすき・・・



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