日より月より


とぷり。

月のない夜の地面はおそろしいほど暗くて、まるで沼のようだと思った。
踏み込むほど、前に進むほど、自身が沈んでいってしまう錯覚にとらわれる。

とぷり、とぷり。

それが気のせいだとはわかっていても妙に焦燥感やら恐怖やらがぷわぷわと浮かんできて、それらを振り切るようにぶんぶんと頭を回した。
そして、ふと前を向く。
暗い景色の中に、きれいな菜の花色がうっすらと浮かんでいた。

とぷり、とぷり、とぷり、

そうだそれなら前を歩むこの人もそんな不安があるかもしれないからときゅっと手を繋ぐと、その人はひとつ驚いたあと、にこりと笑って、「明日にはでてくるよ」と言った。

「はやくお顔、だしてほしいねえ」

それでただ僕はぼんやりと、ああ明かりならここにあるじゃないかと、ただぼんやりと、感じた。 




いすタカりあじゅー。かわいい。



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