いすタカ気味でろじ→くく気味です。



「おなかすいたねえ」

「今日のごはん何でしょうねえ」

火薬庫の中でそんなささやかな会話を僕とタカ丸さんと三郎次先輩(は、その場にいたから勢いで混ぜただけだけど。)の三人で和やかに交わしていると、それまで別所で委員長代理の仕事をしていた久々知先輩が帰ってきていたようで、僕らに向かって突然こんなことをおっしゃった。

「おやつでも食べるか?」

高野豆腐

「……むり、です」

三郎次先輩が心底申し訳なさそうに告白する声は、不安の為か、かっこわるい所を見せてしまう為か、いつもより随分と小さくはなたれた。
しかしこればかりはしょうがないと思う。僕も口の中に含んではいるものの、口内のものは一向に形を崩す気配がない。
タカ丸さんなんて、かわいそうに、むぐむぐとあごを動かしながらもはや涙目になってしまっている。
そんな僕らを不思議そうに見つめながら、ぼり、がり、ごり、というものすごい音をたててそれを噛み砕く久々知先輩に恐怖すら覚えた。

「うまいだろ?」

「う」

「……?」

久々知先輩の疑問は三郎次先輩に向けられている。この人もかわいそうだな、と思いながら僕はすでに噛むことを諦め舌でなぞるように舐めているそれの味をたしかめていた。これはおいしいものなのだろうか。
気まずそうにしている三郎次先輩と、そんな三郎次先輩に小首をかしげている久々知先輩を傍目に僕はタカ丸さんに話しかけた。

「もーあきらめたふぉうがいいでふよ、ふだけます、歯が」

「むー」

うん、捨ててくるね……と残念そうに立ち去ろうとするタカ丸さんについていく。僕も延々とこれを食み続けるのは嫌だった。

二人で食堂へゆき、たしか生ゴミを捨てるところがあったはずだと考え、きょろきょろと辺りを見回してみる。すると、容易くそこは見つかった。

「あったあった」

久々知先輩には申し訳ないけど、捨てさせてもらおう。ぺいと投げ込んだあと「なんだか解放感ー」と柔らかく笑うタカ丸さんをいとおしく感じつつ火薬庫に戻ると、そこには先ほどと全く変わらない光景が繰り広げられていた。
帰ってきた僕らにたすけろの視線を送ってくる三郎次先輩。さてどうしようか。

「久々知先輩、あの、正直に申しあげますと、もどしていない高野豆腐は僕らにはなかなか噛み砕きにくいものでして……」

「そ、そうだよへーすけくん」

「……そうなのか?」

そうか、と状況からか心なし落ち込んだ様子に見えなくもない久々知先輩に三郎次先輩はしまったという顔をして、「ふ、ふふちせんふぁい!」と叫んだ。

「ぼく、い、いけまふ!」

そして、僕の目に耳に嫌でも届いてきたのは、三郎次先輩の思いきり口を閉じる動作と、ごりゅ、という音。
ああせっかく助けてあげたのになぁ、気持ちはわからなくもないけど……と妙に冷静にそれを眺めていると、三郎次先輩は「つ」という小さく短いうめき声と共に頬をおさえながら突然うずくまってしまった。

「どうした?うまいか?」

「おい…しい、で、す」

ふと隣をみると、タカ丸さんはすっかり青ざめてしまった顔を両手で覆ったまま動かない。
平和な委員会の時間がとんだ惨劇だ。うちの委員長代理はおそろしい。

「……はあ、」

今日のごはん、何かな。




高野豆腐〜咀嚼力について〜(サブタイトル)
くうちゃんのあごはどうなってるんでしょう。がりがり。火薬かわいい。



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