恋は病


すっかりおかしくなったなと思った。
あれだけ真面目で、嫌味で、僕に意地悪ばかりしていた先輩が、今ではすっかり、おかしくなってしまったなと。
いや、顔を合わせればやはり不愉快なことを言われたりするのだけど、普段の行動が。
前からおかしいといえばおかしかったのだけど。

ほらだって今も、真顔で僕に変なものを見せてきている。
あれだけ貶し卑下していた後輩に、見て欲しいものがあるなんて言って、豆腐のことや種類別の豆腐の作り方、豆腐料理のレシピなどがこれでもかというほど書かれている紙束を渡してきたのだ。

「で、これがなんですか?」

「ど、どう思う」

どう思うって。
僕は思わず少しだけ顔を歪めた。それに先輩は気づいているのか気づいていないのか話を進めてゆく。

「色々、調べてみて。まとめてみた。せ、先輩のお役に立つと思うか?」

まあこの先輩が何のためにこの紙束を見せてきたのかは薄々、いや心の底では確信に近く、気づいていたけれど。
そういえばうちの委員長代理は不思議な活動をしていたなあとぼんやりと思い出す。
なんだっけ。向上?お豆腐の向上のための?活動?研究?なんかそんな。

「いいんじゃないでしょうか。」

「そそそうか!」

悔しいがそれなりに出来は良いと思う。まとめ方も上手いし、文章も読みやすいし、久々知先輩が時々発作のように豆腐について語り出すのを大人しく聞き流しているだけの僕でも、少しは豆腐についてわかった気になるようなそんな出来だ。
元々真面目な性格と愛の力の成せる業だろう。
いやそんなにちゃんと読んでないけれど、軽くぱらぱらと読んでみた感じ。

「あの、僕タカ丸さんに髪を結って頂く約束をしているので、そろそろ」

「うん、あ、ああ!ありがとな!」

おや礼を言った。
にこにこ笑って紙束を見つめて、嬉しそうにしている先輩を傍目に、僕はそこを去った。

後日、「くくちせんぱいにほ、褒められた!なでられた!」なんて喜びと嬉しさをこらえきれない様子で報告してきた先輩に、僕は苦笑して「よかったですね」なんて言ってあげた。

……髪結いについてまとめることなんてないもんなあ……ううん。




伊助さんをひどく書きすぎた気がするるるる。
ろじ→くくも私の中で公式です。
そして私の片思い表記なCPに受け攻めはとくに無いです!ひょう!だって片思いだもん!



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