涙食
白く白くただ白く震えるそれを、ぱくりと口に含む。
「おいしい?兵助」と楽しそうな顔で問われ、「とても」と柔らかい笑みで返してみせた。
「そりゃおいしいだろーさ、俺の涙で作った豆腐だ」
にこにこと笑う勘ちゃんを見ているとこちらまで気持ちが晴れ晴れとしていくようだった。
そうこれは我が友の涙で作った豆腐、正しくは我が友の涙をにがりにちょいと含ませて作り上げた豆腐である。
もぐもぐと咀嚼する度にひろがる何とも言い表せられない気持ちは、悪いものでないのは確かだった。
はてでもどうして勘ちゃんは泣いたのだったかなあ。
本当に本当に悲しげに泣く勘ちゃんをみてこの豆腐を作ろうと思ったけど、なぜあんなに悲しげに泣いていたのだっけなあ。
思い出せないまま豆腐を食べ終え「ごちそうさま」と声にすると、勘ちゃんは満足げに「おそまつ!」と告げた。
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しかしうちの勘ちゃんとタカ丸さんは泣く率たかい。