からからから。
笑い声がする。
本当に、何もかもおかしいと言うような、そんな笑い声が部屋の中にこだました。

「勘ちゃん」

声の主の名を呼ぶけれど返事はない。
ただひたすらに笑い続ける友と対になるかのごとく俺は無表情でいた。

「勘ちゃん」

からからから。

「勘ちゃん、」

からからからから。

「何がおかしいの?」

そう問いかけると、笑い声はぴたりとやんだ。
友は目をまるくしてぽかりと口をあけて、ぼうとしてみせた。

「俺、何がおかしいんだろう」

「わからないなら、笑わない方が疲れないよ」

「……うん、そうだね」

でもそれなら俺はどうすればいいんだろう。
怒ればいいのかな。泣けばいいのかな。
顔をまっかにしてみせようかな。

どこか苦しそうに俺にそう問い返すから、俺は何も言わないで友の頭を撫でた。

ふわりと、天に昇るかのような表情に変わったのち、次の瞬間にはにこりと機嫌良さげに微笑んだ友を見て、ああ愛らしいのだからこれでいいじゃないかと、ぼんやりと考えていた。




表情をつくらないと気がすまない勘ちゃんと無表情で何事にも動じないくくち。
不思議空気な五いが好きです。



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