ささやか


どちらも、常にと言っても過言ではないほど忙しく慌しい委員会に属している。
それによってただでさえ逢瀬は限られるというのに、片方は同級生約二名の世話をせねばならない。
もう片方も普段は人と対話する時間さえ惜しんで己のペットに構いっぱなしで、それはつまり、ほとんど共に居る時間が無いということだ。
なのでこんな時間はあまりにも希少である。

「なぁ、俺と居る時にジュンコといちゃつくのやめねぇか」

「別にいいだろ」

「私とジュンコどっちが大事なのよ」

「二人へ宛てる愛はどちらも全くの別物だ」

シュルリと布の擦れる気持ちの良い音をたてて、孫兵の首元を這う蛇。
その蛇をしばらくねめつけた後、やれやれと息を吐いて、そっと口を開く。

「まごへー」

「うん、さくべえ」

「まーご」

「さく?」

意味もなく名を呼んで、何やらおかしくてからからと笑う。
この距離感がどうにもくすぐったくて、しかしなかなかに心地良い。




もっとこう、あんまり仲良さそうに見えないカップルとして書きたいんですが。
気がつくといちゃついてるよ。どういうことなの!



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