帰路
そっと寄り添ってきた三郎にこちらからももたれ掛かる。
遠くでまっかに染まっている夕日を綺麗だなあと眺めながら、隣で震える三郎を撫ぜた。
「いたい」
「そうだねえ」
「ものすごく痛いんだ雷蔵、まさかあんなに思いっきり引っ掻かれるとは思わなかった」
「いつもは動物には懐かれてる方なのにねえ」
「うう」
手の甲をおさえながら俯いている三郎の目元にきらりと夕日の光を反射するものが滲み出した。
指先でそれをすくい取ってやると、三郎がその手に額をこすりつける。
「地味にじわじわする」
「うん、早く帰って医務室へ行こう、悪い菌でも入ったら大変だし」
「あい」
土産に買ってきた団子の袋を持って、あいた片手を三郎に差し伸べた。
きゅうと握りしめられたことを確認して、忍術学園への帰路を歩き出す。
「もし三郎の手が膿んだらあの猫お仕置きしてやるからね」
「いや、そこまでしなくてもいいよ、嬉しい、ものすごく嬉しいけど!」
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双忍っつか雷鉢的な感じですね・・・。
お題診断さまをお借りしました。
『夕焼け染まる中、相手の目尻の涙を拭い肩を寄せ合う双忍を思い描いて下さい。』