墓前愛
「おめぇ、そんなに死ぃ背負ってどうすんだよ」
いつか潰されちまうぞ。そんなことを言って、奴はこちらを睨んだ。
先ほどまでするりするりと流れ落ちていた涙がぴたりとやむ。じいと、目の前にぽつんと寂しく立っている墓を見下ろしてみた。
( そうか、潰されてしまうのか )
何か合点がいったような、そんな感覚にとらわれた。
でも背負ってしまったものを手放す事はできない。もうどうにもできない。これからも背負い続けるしかない。その覚悟をしてこの子たちの傍に居る。
そう告げると、しかめ面はふんと鼻を鳴らした。
「迷っちまってもしらねェよ」
「そしたらあいつ等みたいに僕を見つけてくれ、君の得意分野なのだから」
「迷子は全部俺任せかよ、めんどくせえ」
かりかりと頭を掻いている彼にくすりと笑う。そして、そっと見つめてみると、すぐに見つめ返された。
「おめえは誰が背負うんだ」
「え?」
「死ぃ背負い続けて大きく膨らんだおめえの生も、死も、背負ってくれる奴は居んのか」
「……それ、は、」
そんなもの居ないし、別に居なくてもいい。
そういうものだと、ちゃんとわかっているから。
「……俺、が」
「うん?」
「背負ってやってもいい。背負う事は、俺だって慣れてる。」
「え」
「おめえと反対で生の方だけど……あー待て、この口説き文句よくねえな、保健委員が一番背負ってんもんな、ちょっともうちょい考えていいか」
「え」
こういうの慣れてないんだ、率直に言う方が楽なんだけどおめえこういうの洒落て言った方が好きそうだと思って、あーーー。
なんだかそんなことをぶつぶつ言いながら唸っている奴をきょとんとした表情で見守る。
……えっと、つまり、
「好きだ。」
「墓の前で告白する奴があるか!」
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富孫も結構すきです、と!
なんかぶっつけで打ってたら途中からシリアス打破されました。
富松のせい。