ありふれた
「ありがとね」
何が、と聞く暇もなく柔らかに抱きしめられる。
突然のことにびっくりしていると、タカ丸さんは僕をそっと放して、照れくさそうに「えへへ」と笑った。
「いや、なんかね、色々思い出してたら。言いたいなって思って……」
なんかごめんね。そう言って微笑むタカ丸さんがむしょうにいとおしく感じて、今度はこちらからがばりと抱きついた。
タカ丸さんは一瞬驚いた様子でいたけれど、すぐに笑みを取り戻して、きゅっと抱きしめ返してくれた。
木々の葉の隙間から射し込む暖かくふんわりとした光が二人の体にまだらな模様を作り出す。
幸せを噛み締めるというのはこういう事かと、ぬくもりの中ぼんやりと考えていた。
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お題診断さまをお借りしました。
『木漏れ日の中、優しく「ありがとう」と言って抱き合ういすタカを思い描いて下さい。』