第二十話「辛かったね」


「私は一人でシュタイン博士に会いに行く」

夜、ホテルでブラックジャックはそう

ピノコと未来に言った。

黒い帽子をブラックジャックは

ゆっくりとかぶった。

「なら一緒に…」

「ダメだ。

また怖い想いをさせてしまうかもしれない」

同行を言おうとした未来に

ブラックジャックは首を横に振った。

未来とピノコを守るためだった。

先程車の中で震えてしまった二人は

そんなブラックジャックに

強く言えず見送った。


約一時間後。

ピノコがホテルに備え付けのお風呂に入っている時に

ブラックジャックは帰ってきた。

「おかえりなさい」

「ああ…ただいま」

しかしブラックジャックは

未来と目を合わせなかった。

「黒男さん?…ん!」

ブラックジャックは急に未来を抱きしめて

荒っぽくキスをした。

角度を変えて未来を味わうようなキスだ。

「何かあったのね?」

「シュタイン博士が本間先生をバカにして…」

「そう…」

今度は未来から優しいキスをした。

「辛かったね」

未来は包むようにブラックジャックを抱きしめた。

そしてその後

ピノコと一緒にブラックジャック達は

トリトンを訪ねた。

手術を前提とした話をするためだった。


to be continued