第十八話「疑問」


「こんにちは!なのよさ」

「失礼します」

面会時間になるのを待って

ピノコと未来はトリトンのいる病室に入った。

「やあ、君達!いらっしゃい」

トリトンは笑顔で迎えてくれた。

「はい!これ!」

「気に入ってくれるといいけれど…」

更にピノコがオモチャのピアノを渡すと

「わあ!」

トリトンはとても喜んだ。

輝いたような笑顔になる。

それを見てピノコも未来も嬉しくなった。

「ねえ、ピノコにもピアノを教えて欲しいんだ」

そう言うピノコにトリトンは笑顔でうなずいた。

「いいよ!」

楽しそうにトリトンは

ピノコにピアノを教えてあげて

未来はそれを飽きずに見ていた。


トリトンがピノコにピアノを弾いてあげていると

外は夕焼けに染まっていた。

病室にも赤い夕陽が差し込んでくる。

時間が過ぎるのを忘れるほど

トリトンはピアノを教えるのに夢中だった。

「トリトンくんはとてもピアノが好きなんだね」

見守っていた未来はそう言った。

「はい!僕にとってピアノは全てです」

トリトンはそう断言する。

その瞳にはピアノを愛する強い意志があった。

「あーでも難しいのよさ。

ピノコにもピアノが弾ける腕が欲しいなー。

ねえ、ロボットアームって

誰でも同じようにピアノが弾けるんでしょ?」

「え?」

ピノコの何気ない一言にトリトンは

自分の手を見て考え込んでしまった。

「…」

「トリトンくん…」

黙って腕を見るトリトンに

未来は昨日のブラックジャックの言葉を

思い出していた。


to be continued