第十六話「ロボットアーム」


ピノコと未来が入った部屋では

右腕に包帯を巻いた少年が

オルガンを弾いていた。

包帯をしてはいるが

少年はすごい腕前でオルガンを弾いている。

演奏が終わると自然と拍手が起きた。

「すごい!

アンコールなのよさ」

みんなが拍手をする中で、ピノコがそう言った。

それぐらい少年の演奏は素晴らしかった。

「ありがとう!喜んで」

少年も喜んで次の曲を弾こうとした。

しかし演奏している途中で

右手が痛んでしまい演奏を中止した。

「トリトンくん!」

そこに入ってきたのは

金髪の女医とブラックジャックだった。

(あの人、ブラッククイーンって呼ばれていた人…

確かこのみ先生)

未来はそう思い出した。


「実は彼の右腕は

ユーイング肉腫におかされているのです」

病室でこのみ先生はトリトンの処置を行いながら

そう説明した。

そしてトリトンは三日後に

ロボットアームという腕をつける手術をすると言う。

「…」

このみ先生の説明をブラックジャックは

ただ黙って聞いていた。

「すごいのよさ」

ピノコはロボットアームに興味がある様子だったが

「ピノコ、未来、行くぞ」

眉をひそめたブラックジャックは

黒い帽子をかぶってそう言った。

その様子は拒絶のようだと未来は思った。


廊下を歩く間も

このみ先生はロボットアームを絶賛していた。

しかしブラックジャックはいい顔をしない。

「黒男さん?」

「そのなんでもできるという

ロボットアームをつけることが

あの少年にとって本当の生き甲斐になるのか?」

病院の出口でブラックジャックはこのみ先生に聞いた。

「え?」

このみ先生は驚いていた。

ロボットアームがトリトンの救いになると

心から思っていたのだ。

「あなた何にも変わっていない。

私なら切らずに治してやりますよ」

そういってブラックジャックは

未来達と共に立ち去った。

「黒男さん…

私も黒男さんに賛成だよ」

未来もロボットアームには

違和感を感じていたのだ。

「そうかい?ありがとう」

ブラックジャックは未来に

そう言って微笑んだ。


to be continued