第十一話「ミルクちゃんと砂糖ちゃん」


ブラックジャックが行ってしまい

ピノコと未来は

大人しく病院のロビーで絵本や雑誌を読んでいた。

「あ!

ブラックコーヒー先生の

ミルクちゃんに砂糖ちゃん!」

そんな未来達に話しかけたのは

さっき会った女の子だった。

「あ!あんたは…」

「え?砂糖ちゃんって私?」

もちろん変なあだ名に二人は怒った。

でも女の子は悪びれなく無邪気に笑った。

「えへへ。

こんなところで読書?

よかったら私のママに会ってくれない?」

「あなたのママはここに入院してたよね?」

先程の女の子の話を未来は思い出した。

「うん、こっち!」

女の子は歩き始めた。

ピノコと未来がついてくると信じていたのか

一度も後ろを振り返らなかった。


女の子のママは個室に入院していた。

髪の毛も目も、女の子そっくりだった。

「ありがとうございます。

二人も来てくれて…」

そう言って女の子のママは笑ったが

病気のせいか顔はやつれていた。

明日クロイツェル博士に

手術をしてもらうらしい。

「え?クロイツェル博士?」

「クロイツェル博士はスイスなんじゃ…」

博士がスイスにいると聞いていた二人は

驚いて女の子に聞いた。

「ううん、明日帰ってくるんだって」

しかし女の子はそう断言した。

手術してくれるなら帰ってくるだろうと

未来達も思った。

「ふーんそうなの?」

「黒男さんに教えないとね」

「二人はブラックコーヒー先生の

奥さんなんでしょ?

二人も奥さんなんて変なの」

納得した二人に女の子はクスクスと笑った。

「こら、スージー。ダメよ」

ピノコと未来に笑った女の子スージーに

スージーのママは優しく叱った。

スージーと未来達には

不思議な友情が芽生えつつあった。


to be continued