第四十九話「キャサリンの目覚め」


キャサリンの手術は一部が終わった。

ピノコと未来はブラックジャックに頼まれて

キャサリンの様子を見ていた。

ブラックジャックはバート院長と

今後について話し合っている。

「大丈夫だよ。

ちぇんちぇーにかかれば

どんな病気だって治すんだから」

眠っているキャサリンに

パイプ椅子に座るピノコは話しかけて

「そうね」

そんなピノコを未来は

愛情のこもった瞳で見ていた。

(ピノコちゃんはきっと

私より黒男さんを愛しているんだろうな)

未来はそう思った。

「そうだ!これね落ちていたよ。

でもね、スペードのエースに穴が開いちゃったの」

「あ…!」

トランプをポケットからピノコが取り出して

未来はブラックジャックが銃撃された時を

思い出した。

(黒男さん…)

最愛の人を失ったかもしれない絶望感が

未来の心に蘇った。

そしてブラックジャックが立ち上がった希望も。

「もう!なにもかもアイツが悪いのよさ!」

「でも…彼女はなんであんなに

黒男さんの命を狙うのかしら?」

「うーん…確かに」

ピノコが両手を組んで考えていると

「容体はどうだ?」

ブラックジャックとバート院長が

病室に入ってきた。

「まだ意識が戻らないの」

「母さん…」

未来の声を聞いてからバート院長は

眠っているキャサリンに声をかけた。

「必ず元気にしてあげるからね」

「…」

その一言でバート院長の

母への想いが伝わってくるようだった。

そんなバート院長を見たブラックジャックは

ペンダントを胸から出して見た。

(そうか、あのペンダントは

黒男さんのお母さんのものだったっけ…)

母を亡くしたブラックジャックの気持ちに

未来は寄り添いたかった。

「ペンダント壊れちゃったね」

ピノコが言う通り、ペンダントは銃弾を受け

大きな穴が開いていた。

「ああ…ん?これは…マイクロフィルムだ」

そう言ってブラックジャックが

ペンダントから取り出したのは

確かに数ミリのマイクロフィルムだった。

「影三…みお…」

ブラックジャックがバート院長に

マイクロフィルムの解析の依頼をしていると

キャサリンが目を覚ました。

キャサリンは震える手を

ブラックジャックが持っているペンダントに

伸ばした。

「影三…みおにあげるペンダントね。

あなたは…本当はみおを…愛していた」

「何故私の両親の名を?」

キャサリンはブラックジャックの問いには答えず

もう一度眠った。


to be continued