第四十七話「盾になる」


「ちぇんちぇー!死なないで」

「黒男さん!」

恋人達の時計の前に

ピノコと未来の悲鳴が響いた。

撃たれて倒れたブラックジャックに

二人の奥さんは涙を流すしかなかった。

今度こそブラックジャックは殺されたとしか

思えなかった。

「う…」

「黒男さん?」

しかしブラックジャックは生きていた。

うめきながらブラックジャックは起き上がった。

それは未来達にとって奇跡だった。

「ちぇんちぇー!」

「どうして?」

ブラックジャックは未来達には答えず

自分の胸を探った。

殺し屋の女が撃った銃弾は

ブラックジャックのお母さんの形見のペンダントが

受け止めていた。

「ペンダントが弾を止めてくれたのか…」

「お義母さんが守ってくれたのね」

感慨深く三人は

銃弾で一部が砕けてしまったペンダントを見た。

「行くぞ、ピノコに未来!」

「あろまんちゅー」

「もちろん!」

帽子をかぶったブラックジャックの後を

ピノコと未来はついて行った。

絶対の信頼を持って。

ただブラックジャックが生きているのが

二人とも嬉しかった。

「未来、もうあんな真似はやめてくれ」

「え?」

歩きながらブラックジャックは未来に話しかけた。

「お前さんは私の盾ではない」

「ううん、黒男さんが助かるなら

私は何度だって盾になるよ」

「ピノコだって!」

ブラックジャックにきっぱりと二人とも言った。

未来もピノコも自分の命より

ブラックジャックが大事だった。

「全く、お前さん達は…無理はしないでくれよ?」

だからブラックジャックはそう言って

微笑むしかなかった。

(私は二人の奥さんに助けられてばかりだな)

不器用なブラックジャックは言葉にはなかなかしないが

二人にとても感謝しているのだ。

三人はバート病院に到着した。


to be continued