第四十話「ドクターキリコ」


「大体ちぇんちぇーは女心がわかっていない」

民家の近くにあったレストランで

ピノコはお肉を食べながらそう言った。

「確かに…」

未来もナイフとフォークを持ちながら同意する。

「おいおい。

私を利用しようとしているのは

彼女の方だ」

ブラックジャックはそう断言した。

確かに史子はブラックジャックの腕を

利用しようとしているとは言えるだろう。

「そ、そうだけど…」

ピノコはなおも言いたいことがありそうだった。

「大体アンチエイジングがどうだとか

言っていたが

人間って言うのはな

自然と歳をとっていくものだ」

「そして自然に死ぬ」

「あ!」

ブラックジャックに答えたのは

白い髪の男性で三人の近くでビリヤードをしていた。

(あの人は確か死神の化身…)

その姿を見て未来の動きが止まった。

「ドクターキリコ!

何故ここに!」

ブラックジャックはそう言って立ち上がり

キリコに駆け寄った。

あまりキリコと話したことがない

ピノコと未来は

二人のやりとりを見守る。

どうやらキリコはヒュー・モーガンを

安楽死させるつもりらしい。

「黒男さん…」

「キリコにあの患者を死なせはしない」

心配そうな未来に

ブラックジャックはきっぱりと言った。

民家ではなかった患者を助けたいという

強い意志がブラックジャックからは感じられた。


to be continued