第三十九話「無駄なオペはしたくない」


ヒッチハイクした軽トラックに揺られて

未来達はある民家を訪ねた。

緑が沢山あるのどかな田舎町の家のチャイムを

ブラックジャックは押した。

「先生!

いらしていただいて、ありがとうございます。

ピノコちゃんと未来さんも…」

出迎えたのは史子で、三人に微笑んだ。

「お久しぶり、史子さん」

未来はそう言って微笑んだが

美女の史子にピノコはむくれた。

「シュタイン博士はどこにおられます?」

「先生、是非その前に

会っていただきたい患者がいるんです」

すがるように史子はブラックジャックに言った。


「彼が患者のヒュー・モーガンです。

80歳になります」

「嘘でしょ…」

史子の説明に驚いた声を出したのは

未来だった。

もちろんブラックジャックやピノコも

同じ気持ちだった。

ベッドに眠っている患者はどうみても少年だった。

「驚くのも無理はないわ。

65年前の爆発事故から

彼は歳をとらなくなったの」

「まず見込みは3%か4%。

それにかけて20万ポンド払いますか?」

患者とレントゲンの写真を見たブラックジャックは

そう冷酷に言った。

一瞬で場の空気が悪くなったが

ブラックジャックは気にしない。

「黒男さん…」

「私は慈善家じゃないんでね。

無駄なオペはしたくないんですよ」

史子は引き留めようとしたが

ブラックジャックは部屋を出た。


to be continued