第三十七話「船内の目覚め」


暗い船内。

船は霧に包まれていた。

「黒男さん…」

三人は貨物の箱をベッドにして眠っていた。

シュタイン博士に会うために

ブラックジャックはお金を出して

貨物船に乗ったのだ。

「着いたぜ、先生」

船長がそうブラックジャックに知らせに来た。

「世話になったな」

「いつでも使ってくれ」

ブラックジャックが報酬を渡すと

船長はニヤリと笑った。

「未来、少し狭いが辛抱してくれ」

「え?」

ブラックジャックは自分より一回り大きい

貨物の箱に入ると

ポンポンと空いているクッションを叩いた。

ここに来いということだろう。

「もしかして同じ貨物に入るの?」

「ここは貨物船だからな。

これに入って外に出るしかない」

「じゃあピノコも一緒に!」

嬉しそうにピノコはそう言ったが

「ああ、物音を立てるなよ?」

ブラックジャックがそう言うと

船長が貨物の蓋を閉めた。

未来はドキドキしながら

すぐ近くにいるブラックジャックを見た。

「黒男さん…」

「しっ!」

狭くて真っ暗な貨物の中で

未来とブラックジャックは抱きあっていた。

ピノコもブラックジャックの足に抱きついている。

(ドキドキが伝わりませんように)

そう思いながら未来は目をつぶった。


未来達が入った貨物は無事に外に出された。

「それにしても重いな。

何が入ってやがるんだ?」

貨物を運んだ男がそう言って

貨物のふたを開けてしまった。

「おい」

もう一人の男も止めようとしたが

男はふたを開けてしまい

「わ!」

ブラックジャック達を見て驚いた。

まるで幽霊を見るような目をしながら

男達は去っていった。

「何よ!

失礼しちゃうわね」

「おばけじゃないのに…」

「仕方ないだろ」

不満そうなピノコと未来に

ブラックジャックはやれやれと笑った。


to be continued