第三十四話「必ず助ける」


未来達三人がやっと到着したホテルは

ピノコが望んだ豪華なホテルとは程遠い作りだった。

夕食もピノコは不満そうだったが

三人は食事を済ませて部屋に戻った。

「今日はもう休もう」

「そうね」

「疲れたのよさ」

各々がベッドに腰かけて疲れを癒した。

ブラックジャックはタイを緩くして椅子に座り

未来はその前にある椅子に座った。

「それにしても、ちぇんちぇーのケチ!

こんなオンボロホテルに泊まるなんて…」

ベッドに突っ伏してから

ピノコは不満そうに言った。

「我慢しろよ。

遊びに来ているんじゃないんだ」

「この旅が終わったら

ゆっくり観光したいね」

ピノコとブラックジャックのいつものやりとりに

未来はそう言って微笑んだ。

そしてブラックジャックが

荷物を整理し始めた。

「あれ?何か落ちたよ」

「ああ、これは蟻谷さんの名刺だ」

ピノコが指差した床に落ちた名刺を

ブラックジャックは拾った。

約束の印に、と蟻谷はブラックジャックに

名刺を渡していたのだ。

その名刺を改めてじっくりと見て

ブラックジャックは驚いた。

「っ!このマークは…!」

「黒男さん?」

名刺をじっと見るブラックジャックに

未来は胸騒ぎがした。


ブラックジャックは名刺を持ったまま

電話をするためにフロントに走った。

「そうです、経理の蟻谷さんです。

…なんですって?!

電車に飛び込んだ?」

ホテルのフロントの公衆電話を握りしめながら

ブラックジャックは叫んだ。

「え?!」

「嘘…!」

近くで様子を見ていたピノコと未来も

動揺を隠せない。

蟻谷に何があったのか?三人にはわからなかった。

何事かとフロントの男性が

眉をひそめながらブラックジャックを見ている。

「ローゼンバーグ病院ですね」

ブラックジャックは電話を切って

急いでローゼンバーグ病院に電話をした。

そして電話を切ったブラックジャックによると

蟻谷はもって明日な危篤状態らしい。

「行くぞ、二人とも!

蟻谷さんは必ず助ける!」

ブラックジャックは慌ただしくホテルを出て

ピノコと未来もついて行った。


to be continued