第三十五話「夢じゃない」

二人が南の国を出発して五日が経った。

「ムーミン谷まではあと半分だよ」

「楽しみだわ」

休憩の為に

ちょうどいい岩に座って

コーヒーを飲む二人は微笑みあった。

「私…今でも夢を見ているみたい。

今まではスナフキンと

数十分しかいられなかったのに

今はずっと一緒だから」

マグカップを持ったミクは

そうつぶやいた。

「そうだね、でも…」

ミクのすぐ隣にいたスナフキンは

ミクの頬にキスをした。

「夢じゃないよ」

「スナフキン…」

恥ずかしくてミクは

赤くなりながらコーヒーを飲み干した。

このままスナフキンと旅をしたいような

早くムーミン谷につきたいような…

ミクは複雑な気持ちだったが

不快ではなかった。


to be continued


しおりを挟む