第二十七話「代わってあげたい」

今日もミク姫は

スナフキンの旅の話を熱心に聞いた。

「スナフキンがうらやましいわ」

話が一段落すると

ミク姫はポツリと言った。

ミク姫は城の外には出られないのだ。

寂しそうな顔でミク姫は窓の外を見た。

そこから見えるのはお城の庭と

遠くにある山だけだ。

「あ…そっか。

僕ばかりずるいよね」

「ううん!

そうじゃないけれど…!」

申し訳ない顔になったスナフキンに

ミク姫は慌てた。

「もしも…」

優しい表情でスナフキンは話し始めた。

「もしも僕が捕らえられて

君が自由になるのなら…僕は本望だよ」

「そんな…!」

ミク姫はもう一度慌てた。

スナフキンが自分のお城の兵に捕らえられるのを

ミク姫は一番恐れているのだ。

「スナフキンは旅をしなくちゃ。

それが自然なのだから」

「そうだね、僕は旅人だから…」

そう言った二人は見つめあったが

お互いに相思相愛だということは

気がついていない。


to be continued


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