第二十五話「会いたくなっただけ」

夜、スナフキンはテントの前で

ハーモニカを吹いていた。

吹いているのは切ない恋の歌だ。

一曲吹き終えてスナフキンは、ため息が出た。

最近スナフキンはため息をついてばかりで

きっとムーミンが見たら不思議に思うだろう。

(ミク姫…

今何をしているかな?

夜は警備が厳しくなっているから

会えないだろうな。

いや…その前に

夜に女性を訪ねるのは迷惑か)

スナフキンはハーモニカを見ながら

そう考えた。


同時刻のミク姫の部屋。

ミク姫はベッドに突っ伏していた。

うつぶせになって枕にしがみついている。

そうじゃないと外に出て

スナフキンに会いに行きたくなりそうだったのだ。

(スナフキン…何をしているかしら?

テントでは寂しくないのかしら)

そうミク姫もスナフキンを想っていた。

ミク姫は胸がぎゅっと苦しくなるのを感じた。


(会いたいな、ミク姫)

(会いたいわ、スナフキン)

同じ空の下で二人は

同じことを思っていた。


to be continued


しおりを挟む