第二十一話「立ちくらみ」

「そうだ!

この前ね、面白い本が…」

いつものようにソファに座って

スナフキンと話していて

ミク姫は急に立ち上がった。

「え?」

それがいけなかったのか

めまいがして

ミク姫はソファの前の床にしゃがみこんだ。

しばらくミク姫は動けなかった。

「ミク姫!大丈夫?」

慌ててスナフキンは

ミク姫の近くに駆け寄った。

「だ、大丈夫。

ただの立ちくらみだと思うから」

「でも顔色がよくないね」

スナフキンはためらいもなく

ミク姫を抱き上げた。

「スナフキン…!恥ずかしい」

ミク姫の顔が瞬時に赤くなった。

こんな時でもミク姫は恥ずかしいのだ。

「恥ずかしがっている場合じゃないでしょ?」

スナフキンはミク姫を

そのままベッドに寝かせた。

器用にミク姫を抱きかかえたまま

掛布団をめくって

ミク姫を寝かせると

優しく掛布団をかけてあげた。

「ありがとう、スナフキン」

「ううん。

誰かを呼んでこようか?」

「そんなことをしたらスナフキンが…」

スナフキンがミク姫の部屋に来ているのは

誰にも内緒だった。

「構わないよ。

僕よりも君の体調の方が心配だ」

「大丈夫!だからお願い、無理しないで」

スナフキンが来ていることがバレる

それはミク姫にとって

一番怖いことだった。

「わかった。

でも無理はしたらダメだよ?」

スナフキンはそう言って

ミク姫の頭を優しく何度も撫でた。


to be continued


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