第八話「まるで猫」

いつもスナフキンがいる時間は

ミク姫の部屋には

日向が差し込んでくる。

その日向にあたりながら

スナフキンの話を聞くのが

今のミク姫にとって一番の幸せだった。

「温かいね」

気持ちよさそうに目を閉じるミク姫に

スナフキンは優しく言った。

スナフキンの顔もまた穏やかだ。

「うん、眠くなっちゃうよ」

「それならまるで猫だね」

スナフキンが今度は笑った。

「猫でもいいよ。

スナフキンの猫になりたい」

ミク姫は思わずそう言って

「え?」

「あ…」

自分が恥ずかしいことを言ったと

気がついた。

「やだ!

今のは忘れてね、スナフキン」

慌ててミク姫がそう言うと

「う、うん」

スナフキンも照れながらうなずいた。

なんとなく二人は目が合わせられなくなった。

(スナフキンの猫なら

自由にスナフキンと遊べるのかしら)

(ミク姫が猫…)

それぞれそう思ったのは

二人は知らない。

日向が見守るように二人を照らしていた。


to be continued


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