第五話「寝ころぶ」

トントントン

いつものようにスナフキンが

窓をノックしても

嬉しそうなミク姫は現れなかった。

「ミク姫?」

不思議に思ったスナフキンが

窓を開けてみると鍵は開いていた。

そしてミク姫は

ベッドに寝ころんでいた。

寒いのかしっかりと布団をかぶっている。

(外は暖かいのに…)

スナフキンは心配になって

ミク姫のもとに駆け寄った。

「スナフキン…」

まどろんでいたミク姫が

目を開けた。

ミク姫の瞳は潤んで顔は赤い。

「ミク姫…失礼」

スナフキンは一言言ってから

ミク姫の額に触れた。

とても熱い。

「熱いね…」

「さっきお医者様がいらして

風邪だって…」

「そう…

じゃあ僕は帰った方がいいね」

「待って!」

ミク姫は帰ろうとしたスナフキンを

慌てて引き留めた。

「ミク姫?」

迷惑になりたくないスナフキンは

不思議そうにミク姫を見た。

「誰かに…ううん

スナフキンにそばにいてほしいの」

「…わかったよ」

スナフキンは笑顔でうなずいて

ベッドに腰かけた。

ミク姫のベッドはふかふかだった。

「ずっとここにいるから。

誰かが来たら

クローゼットの中にでも隠れるよ」

できるだけ優しく言ったスナフキンは

夕方になるまで

ミク姫のそばにいた。


to be continued


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