こんなところで寝ないでください
その日は私ジェイド・カーティスも
私の副官の未来も執務に追われていた。
書類の束を持って自分の執務室に入ると
未来は机に突っ伏して眠っていた。
「おやおや。
こんなところで…」
女性なのにとか仕事中なのにとか
どうしても思ってしまう。
「ふむ…仕事は終わったようですね」
未来の机の上にある書類を見て
少し安堵する。
真面目な未来だから
仕事の途中で寝ることはないだろうが。
「お疲れ様でした」
私は近くにあったブランケットを
未来の華奢な背中にかけてあげた。
「…大佐」
その時未来が確かに私を呼んだ。
「はい?」
寝言と分かっていても返事をしてしまう。
私の夢を見ているのだろうか?
だとしたら愛おしくてたまらない。
口にしたことはないが
私は未来に恋をしているのだから。
「好きです」
しかし未来は驚くことを言った。
彼女の気持ちは察していたが
まさか寝言で告白されるとは思わなかった。
「ふふふ」
そんなかわいい未来を
私は背中から抱きしめた。
「私も好きですよ、未来。
起きたらまた言いますね」
未来の耳元で私はそうささやいた。
口づけは
未来が起きてからにしようと思いながら。
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