幸せになってください
「未来…愛しています。
幸せになってください」
それが未来に向けた最後の言葉だった。
そして私と未来が別れて半年が経った。
軍人として忙しい日々を送っていたが
未来のことはずっと忘れられなかった。
「ん?」
私は夕闇の中
自分の屋敷の前で待つ未来の姿を見つけた。
「未来!」
「ジェイド!」
気がついたら私達は抱きあっていた。
久しぶりに抱きしめた未来は
前より少し細い気がした。
まるでぎゅっとすると壊れてしまいそうで
慈しむように優しく未来を抱きしめた。
「私…ジェイドといないと幸せになれないよ」
「そうですね」
私の腕の中で泣きじゃくる未来の頭を
私は何度も撫でた。
「私もです。
また一緒に時を過ごしましょう」
そう言って交わした触れるだけのキスは
お互いの存在を確かめるように
長いキスになった。
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