あと一時間
ジェイドも私も軍人。
いつか彼を失う覚悟はできていたはずだった。
「作戦はあと一時間後に決行されます」
マルクト軍の基地の
私とジェイドの執務室。
淡々とジェイドはそう言った。
「そう…」
この作戦がどんなに危険かわかっていたから
ジェイドの顔が見れなくて
椅子に座ったまま、私はうつむいていた。
「私が死ぬまで、あと一時間かもしれません」
だけどジェイドのその一言で
私の涙腺は決壊した。
「う…」
「すみません」
ジェイドはそっと私を抱きしめてくれた。
「…言い方を変えましょう」
しばらく私の背中を撫でていたジェイドが
そう口を開いた。
「え?」
「必ず貴女の元に帰ってきますよ、未来」
そう言ってジェイドは
誓うようにキスをした。
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