天才


「ジェイド…別れて」

そう未来は酒屋で切り出した。

「え?」

ウイスキーを飲むジェイドの手が止まった。

「何故?」

そして悲しそうに未来に聞く。

「だって…

ジェイドはなんでもできる天才で

私はただの町娘だから

つり合わないよ」

「そんなことはありません」

自信がない未来にジェイドは

きっぱりと言った。

「え?」

「貴女だって天才ですよ。

ネクロマンサーと恐れられている私を

ここまで惚れさせたのは

貴女が初めてです」

「そうなの?」

「ええ」

ジェイドはうなずいて

未来は安心できた。

「未来が私を必要としなくなったら

別れるのもいいかもしれません。

でもそうでないなら

これからも私の隣にいてください」

「うん。

ありがとう、ジェイド」

未来は嬉しくて涙を流し

ジェイドはそんな未来の背中を

優しく撫でた。

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