花火〜ヒロインサイド〜


今日はグランコクマで花火大会。

私は黒に桜の浴衣を着て

友達と屋台を眺めながら歩いていた。

だけど人が多くてはぐれてしまった。

(どうしよう?)

私が慌てていると

「未来?」

優しく名前を呼ばれた。

「あ、大佐!」

そこにいたのは上官のジェイド大佐。

私が密かに恋をしている人で

いつもの軍服を着ていた。

「こんなところに一人でどうしたのです?」

「友達と来たんですけれど

はぐれてしまって…。

大佐は?」

「見回りの仕事ですよ」

やれやれという感じで大佐は笑った。

「仕方ないですね。お友達を…」

大佐が言いかけた時

ドーン!

大きな音がして花火が始まってしまった。

「あ…」

「今年も綺麗ですね」

人混みの中で私達だけ立ち止まって

しばらく花火を見ていた。

「未来…です」

「え?」

花火に見惚れていると

大佐が何かを言った。

でも聞きとれなかった。

「なんでもありません。

お友達と合流するなら本部に行きましょう」

そう言って大佐は私の右手を握った。

「大佐?」

「はぐれないためです。

我慢してください」

そう言って大佐は歩き始めた。

心臓がドキドキといつもより速くて

そこに花火の音が響いて

私はとても落ち着かなかった。

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