黒猫


ケセドニアで自由行動中

「あ…!」

ジェイドと手をつないで歩いていた未来は

か細い子猫の声を聞いた。

「ジェイド、あれ…!」

よく見ると物陰に段ボールが置かれていて

その中で一匹の黒い子猫が鳴いていた。

未来は思わずこの子を抱きしめてしまった。

「未来…」

ジェイドは困ったように呼んで

「わかっている。

私達は旅をしているから…でも…」

未来の声は泣いていた。

しばらくそんな未来を見ていたジェイドは

「全く…子猫ちゃんが子猫を抱いているのを

見過ごすわけにはいきませんね」

と言って未来の頭をポンポンと撫でた。

「え?」

「アスターに頼めば協力してくれるでしょう。

屋敷に行きますよ?」

「ジェイド!ありがとう!」

未来はジェイドにも抱きつきたかったが

子猫を抱いているから我慢した。

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