記憶喪失


「何故だ…」

ベルケンドの研究所を出て

ジェイドはポツリとつぶやいた。

戦闘中にジェイドの恋人の未来が

崖から転落した。

医師に診てもらうためにベルケンドまで来たが

未来は全ての記憶を失ったという。

もちろんジェイドの事もだ。


「そんな…」

「未来、かわいそう」

宿で待つパーティ全員に

ジェイドは説明をした。

「でも旅をしていれば

思い出すんじゃないか?」

「そうだといいのですが…」

ルークの前向きな言葉に

ジェイドは曖昧に答えた。

翌日未来は退院し

またみんなと旅をすることになった。

しかし戦い方も忘れているため

みんなで守ることになった。


「未来!危ない!」

多数の魔物と戦闘中

未来の護衛が手薄になった時

魔物が未来を襲おうとした。

「させません!」

未来を守ったのはジェイドだった。

「大佐!」

ジェイドは魔物の攻撃をまともに受け

腕には破けた軍服から血が見えた。

「どうして…?」

「愛する貴女を守るのは当然でしょう?」

ジェイドはこんな時なのに微笑んで

「…ジェイド?」

未来はいつものように

ジェイドを呼んだ。

「未来?!」

「思い出したの、ジェイドの事。

ジェイドはいつも私を守ってくれたから」

「これからも貴女を守りますよ。

死ぬまでずっと」

痛みをこらえてジェイドは未来を抱きしめた。

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