第四十八話「スピノザの謝罪」


ベルケンドへ行くために、セフィロスを出た。

するとアストンがこちらに向かって歩いてきた。

「アストンさん!本当に無事だったんですね!」

未来が助けたことは知っていたが

本人を見て、ルークは嬉しそうだった。

「ああ。未来のおかげで、イエモン達も元気だ。

すごい力だな。

ありがとう、未来」

アストンは深々と頭をさげた。

「そ、そんな。当然のことをしたまでです。

みなさん

命がけで作戦に協力してくださったし…」

未来は慌てて首を横に振った。

「謙遜するもんじゃないぜ?」

「そうですわ。

未来は奇跡を起こしたのですから」

「ガイ…ナタリア…。

と、ところでアストンさんは、ここでなにを?」

未来が慌てて話題を変えると

アストンはアルビオール三号機を完成させ

上空から未来達を見つけたから

降りてきたと言う。

「あー!あいつ…!」

しかしアニスが指差した方向に

裏切者・スピノザがいた。

「あ、あなたねぇ!」

未来は怒りをあらわにし

スピノザを追いかけた。

ルーク達も慌てて追いかける。

追い詰められたスピノザは

三号機に乗り込み、逃げてしまった。

「ノエル!あの三号機を追いかけてくれ!」

「わ、わかりました!」

ルークの頼みに

ノエルは慌ててアルビオールを発進させた。


アルビオール三号機は白煙をあげ

ベルケンド付近に墜落した。

未来達と一緒に

アルビオール二号機に乗り込んだアストンの話では

墜落しても乗っている人が死ぬことはない

と言う。

「ここ辺りの魔物は、お年寄りには厳しい。

きっとベルケンドに向かうでしょう」

ジェイドがそう言い、スピノザを追いかけて

ベルケンドへ急いだ。

「スピノザ!絶対許さないわ!」

「未来!

短剣を取り出すのはやめて!」

怒りがどんどん加速していく未来に

ティアは慌てたが

「まったくだぜ!スピノザ!

絶対つかまえてやる!」

ガイはうなずいた。

「ガイ…珍しく怒っていますのね。

確かに彼の今までの行動なら

仕方がありませんが…」

「三号機を傷物にしたんだ!

浮遊機関はロマンなのに!」

ガイは未来を追い越して

ベルケンドの街に入った。

「そ、そっちに怒っていますのね…。

未来、ガイ!お待ちになって」

ナタリアは苦笑し、二人を追いかけた。


ベルケンドに入るとルークに命じられたミュウが

炎でスピノザに威嚇し

ガイがスピノザをおさえた。

「おーっと。

あんたには色々聞きたいことがあるんだ。

おとなしくしてもらおうか」

ガイはそのままスピノザを知事邸へ連行した。


「さあ、吐きなさい!

メジオラ高原になぜ来たの?!」

「未来、気持ちはわかりますが

落ち着いてください」

イオン様の優しい言葉で

スピノザは話し始めた。

「わ、わしは…皆に詫びたくて

シェリダンへ行ったんじゃ」

アストンがメジオラ高原に行くと聞いて

まずアストンに謝ろうとしたが

いざとなると怖かったと言う。

自分のしていることは

仲間を殺してまでやる価値がある研究か

悩み始めたらしい。

「俺、この人のこと…信じられると思う」

スピノザをかばったのはルークだった。

「俺、アクゼリュスを消滅させたこと

認めるのが辛かった。

…あの時、未来の言う通りだった。

自分の罪を認められないのはおろかだ、と」

ルークは未来を見たが

未来は何も言えなくなった。

ジェイドは障気の隔離の為の研究をするよう頼み

スピノザは何度もうなずいた。

アニスは「信じられない」と言ったが

監視付きで研究をしてもらうことになった。

「なんでそんな簡単に信じちゃうの?

みんなバカみたいだよ…」

アニスが誰にも聞こえないように言った。


to be continued

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