第四十七話「ぬぐえない心配」


ベルケンドにいたユリアシティの研究者から

メジオラ高原にセフィロトがあると聞き

アルビオールで出発した。


「イオン様が、レプリカ?!」

地核突入作戦に同行しなかった未来に

地核で起きたこと

そしてティアの体のことを

ガイが説明した。

「すみません、未来。

ずっと黙っていて…騙していて…」

「そんな!騙したなんて!」

イオン様の謝罪に未来は慌てた。

「私にとってのイオン様は

あなただけです」

ニコリと未来が笑うと

イオン様も安心したように微笑んだ。

「それよりティアは大丈夫…

…ではないわよね」

「そんなことないわ。

未来こそ、シェリダンで無理をしたのだから

自分の心配をするべきよ」

ティアも笑ったが

未来の心配は消えなかった。


メジオラ高原に到着し

セフィロトに歩いて向かう途中

リグレットが現れ

デオ峠の時のようにティアに説得をした。

ヴァンは第七譜石を詠んでおり

ガイは第七譜石はホドにあったと言う。

「ん?ティア、どうしたの?」

リグレットが去った後

ティアはなにかを拾い

未来は気になった。

「な、なんでもないわ!」

拾ったものを隠してティアはごまかした。


セフィロトの入り口が見つかり

イオン様が扉を開けるが

その場にしゃがみこんでしまった。

レプリカで体力が劣化しているからだと言う。

「妙な気分です…。

私が始めた研究が、こんな形で広がってしまうとは」

ジェイドはうつむくが

そんなジェイドにルークは首を横に振る。

「アッシュは怒ってると思うけど

俺、マジ感謝してる。

ジェイドがフォミクリーを考えてくれなきゃ

俺は生まれてねーから。

…ホントは生まれてちゃ、駄目なんだろうけどよ」

ルークの卑屈な考えにガイ達は注意をしたが

未来はジェイドと目が合った。

「ね、言ったとおりでしょ?

誰もあなたを軽蔑しないわ」

「そう…みたいですね」

ジェイドは小さく笑った。


「昇降機が動きません。

動力が死んでいます」

パッセージリングに向かうための昇降機を調べて

ジェイドが困ったように説明をした。

ガイはセフィロトを整備している機械人形から

動力を奪うしかないと言う。

「さあ、未来!

ちゃちゃっと始末してください」

ジェイドは今度は楽しそうに未来に言った。

「え?私?!」

突然指名されて、未来は驚き

「気が進まないわね」

機械人形を見て、仕方なく詠唱の準備をした。

「貴女を信用して頼んでいるのです」

「まあ、素晴らしいですわ!」

ジェイドの愛の言葉とも言える発言に

ナタリアがうっとりとした。

「もう、ジェイドったら…」

そう言って未来は機械人形に一歩近づく。

「いきます!

唸れ烈風

大気の刃よ、切り刻め!」

未来は第三音素の譜陣を展開した。

本当は第四音素の譜術が得意だが

水では最悪、動力もショートさせてしまう。

「タービュランス!」

そして譜術が発動した直後

「きゃあ!」

「未来!」

大人しかった機械人形が

レーザーらしき光線を

未来に向けて発射させた。

「なぜ?

攻撃なんて出来そうもないのに!」

間一髪で光線を回避した未来の前に

慌ててジェイドが守るように立つ。

「どうやら、未来を

侵入者とみなしたようですね」

ジェイドも詠唱し

「グランドダッシャー!」

譜術が発動すると

今度こそ機械人形は壊れた。


「すみません、未来」

「え?」

動き始めた昇降機の中で

ジェイドは未来に謝った。

「私がうかつでした。

貴女を危険な目に

遭わせてしまいました」

未来に機械人形を始末させようとした結果に

ジェイドは謝ることしかでなかった。

「そんな!ジェイドは悪くないわ」

未来が慌てて否定をすると

昇降機はパッセージリングの階へ到着した。


「…やはりパッセージリングから

異常な数値の障気が

ティアに流れ込んでいます」

セフィロトを起動させた時

ティアにつけさせた計測器を見て

ジェイドは言った。

「そんな…!」

現実を突きつけられて

ルークは絶句する。

ユリアの子孫だからか?

装置にユリアが

自分の情報を打ち込んでいたのだろうと

ジェイドは推測し

地核が汚染されているから障気があるのならば

星の引力を利用すれば

活路を見つけられるかも

とも提案した。

そして一度、ベルケンドで

検討することになった。

「ティア…無理しないで。

できれば代わってあげたいのに…」

アルビオールに戻る途中

未来はティアのそばにいた。

「そんなことをしたら

大佐も私も許さないわ」

ティアは無理して笑った。


to be continued

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