第四十一話「昼間のタタル渓谷」


シェリダンに到着すると

タマラとキャシーが集会所前に立っていた。

そして中に入ると

イエモン達が喧嘩をしているではないか。

「みなさん、こんな非常時にやめてください」

未来達はそれをなだめた。

落ち着いたイエモンは

地核の揺れを抑える装置の外側を作り

ヘンケンは演算機を作ってくれるという。

イエモン達に協力をお願いし

セフィロトがある可能性が高い

タタル渓谷へと急いだ。


「前に来たときにはセフィロトらしい場所は

なかったと思ったけどな」

タタル渓谷に入るとルークはあたりを見まわした。

「あの時は夜だったから

見落とした場所があるかもしれないわ」

しかしティアの言葉に

ルーク以外のメンバーが過剰反応する。

「あれぇ?

夜中に二人でこんなトコにきた訳ぇ?」

「なんですって?怪しいわね」

「んまあ、ルーク!

あなたティアと

そんなことになっていましたの!?」

アニス、未来はからかい

天然のナタリアはただ驚いた。

ルークは慌てて弁解しようとしたが

ティアは

「ありえないから。

…何してるの?行きましょう」

と冷たく言いながら歩き始めた。

「なんかむかつく」

「きっつー」

ルークはガッカリし

ガイはルークに同情した。

「そうですねぇ」

しかしジェイドは笑うだけだった。

「楽しそうだな、大佐」

「ええ、楽しんでます」

「私も楽しんでいるわ」

ジェイドと未来はガイに笑った。

「君達、本当に似てきたな」

そんなガイは苦笑いをする。

「ルーク…あまり気落ちしないでね」

「し、してねえよ!」

未来はルークの肩をぽん!と叩き

ティアについて行った。


渓谷を歩いていると

高価で売られる青色ゴルゴンボド揚羽を

アニスが見つけて追いかけた。

しかし地震が起き

アニスは崖に落ちそうになってしまう。

そんなアニスの手をひき、助けたのは

今まで女性を怖がっていたガイだった。

「さわれた」

「すごいわ、ガイ」

「偉いですわ」

信じられないとガイは自分の手を見たが

未来とナタリアは歓喜の声をあげた。

「ああ、そうだな。

俺のせいでアニスに大事がなくてよかったよ」

「や〜ん、アニスちょっと感動」

「確かガイはマルクトの貴族だったわね」

喜ぶガイやアニスを見ながら

未来は思い出した。

「ええ、きっと国庫に資産が保管されてますよ」

「ガイ!

いつでも私をお嫁さんにしていからね!」

未来とジェイドの言葉に

アニスはさらにはしゃぐ。

「遠慮しとくわ」

しかしガイはあきれた表情になった。


今度は

「聖なるものユニセロス」

をアニスが見つけた。

「アニスはここに何度も来そうですね」

「そうかもしれません」

未来とイオン様は笑いあう。

しかし大人しいはずのユニセロスは

こちらに攻撃をしてきた。

仕方がなく

気絶させるために戦闘になってしまう。

「くっ!」

「ジェイド!」

ユニセロスが放ったホーリーランスを

ジェイドは避けようとしたが

腕にかすってしまった。

「癒しの力よ!ファーストエイド!」

未来はすぐに治癒術をジェイドにかける。

「ありがとうございます」

「いいえ」

お礼を言うジェイドも

言われた未来も

ユニセロスへの警戒は解かず

前だけを見ていた。

話すために後ろを向いていては

戦場では命取りになる。

そしてひるんだ隙に

ティアの譜歌で

ユニセロスは意識を失った。

すぐにティアが傷を癒すと

ユニセロスの意識が戻ろうとしていた。

そこでルークの提案でミュウが通訳をしたが

ティアが障気を吸っていて

障気が近づいてきた、と襲ってしまったという。

「思い当たる節があるのですか?」

「い、いえ…」

不審に思うジェイドにティアが否定をすると

ユニセロスは去って行った。


「ここは僕が開きます」

ユニセロスが立っていた後ろに

セフィロトの扉があり

イオン様が解呪した。

しかしイオン様はその場にしゃがみこんでしまった。

「そういえばパッセージリングを起動させる時

ティアも疲れるみたいですわね。

創成暦時代の音機関や譜術には

そういう作用でもあるのかしら」

「そんなことはないと思いますが…」

ナタリアの言葉にイオン様は首を横に振り

それをジェイドは黙って見ていた。

「ジェイド、なにか気づいたわね」

そんな彼の反応に未来は確信を持って言ったが

ジェイドは未来を見ようとしない。

「いえ…なんでもありません」

ただそれだけを言い

ジェイドはセフィロトの中へと進んだ。


ティアがセフィロトツリーへ近づくと

セフィロトは起動した。

そこでルークは超振動で命令を書いていき

地核の振動周波数の測定をガイが行った。


「あら素敵な場所ですわ」

セフィロトの外に出るとセレニアの花畑に

ナタリアが嬉しそうに近づいた。

「ここでピクニックをしたら楽しそうですわね」

そんなナタリアに女性陣がついていった。

「あの…これ…」

恥ずかしそうにティアが差し出したのは

イチゴがのったショートケーキだった。

「タマラさんに作り方を習って

二人で作ったのよね?未来」

「そうよ」

未来は嬉しそうにうなずいた。

「わ〜!でも未来達がケーキなんて意外」

「お二人は軍人ですものね」

「お!なんだ?ケーキか?」

そこにルークが走ってきた。

「おいしそうですねぇ」

ジェイドも嬉しそうに歩く。

「二人はいつでもお嫁にいけるな」

ガイは感心したように何度もうなずいた。

「お嫁?!」

「そ、そんなことないわ!

ねえ、未来!」

ガイの言葉を二人は急いでごまかした。

「そうよね…」

「ふーん、その慌て方はあやしいなぁ」

アニスは面白そうにそんな二人を見て

ニヤニヤと笑った。



to be continued

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