番外編「束の間の休息」


ジェイドと未来は

バチカル行きの船に乗っていた。

ピオニー陛下の好意で

娘・クリスはグランコクマの城で

遊んでいる。

「久しぶりに夫婦水入らずで

旅でもして来い」

ピオニー陛下はそう言った。

行き先は未来がすぐに決めた。

バチカルへ行けば

ナタリアとアッシュ

ティアとルーク

の夫婦に会えるのだ。


「バチカル…久しぶりだわ」

船から出た未来は

大きく深呼吸をした。

「闘技場へは行きませんよ?」

「わかってる」

二人がそう笑っていると

「未来!ジェイド!」

嬉しそうな声が港に響いた。

ルークとティアがこちらに走ってくる。

「ティア!

そんなに走ったら危ないわ」

「大丈夫よ」

ティアはそう言って

大きくなったお腹を撫でた。

「まだ予定日までひと月あるもの」

「俺も気をつけろって

言ってるんだけどな〜」

ルークは苦笑いをした後

「それにしても二人共

来てくれてありがとう」

未来に微笑んだ。


「お待ちしておりましたわ」

ナタリアは自室で

お茶会の準備をしていた。

「ナタリア!元気そうね」

未来はナタリアに駆け寄った。

「未来も育児で疲れてはなくて?」

「大丈夫よ。

ジェイドが手伝ってくれるもの」

未来は笑顔でそう言ったが

「え?そうなの?」

「ジェイドがミルクとか作るのか?」

ティアとルークは驚いた。

「そんなに珍しいですか?」

「珍しいに決まってる」

今度はアッシュが部屋に入ってきた。

そして始まったお茶会は

たくさんの話で盛り上がり

全員が束の間の休息を楽しんだ。

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