第十五話「ローレライ」


「うっ…」

私は泣きながら

両手を前に突き出して

集中しようとした。

この世界に戻る前…

ジェイドは

「超振動だ」

と言ってた。

だけどあの場にいたのは

ジェイドと私だけ。

ジェイドは第七譜術士ではない。

ということは

私はルークのように一人で

超振動を起こせるかもしれない。

なら超振動で

オールドラントへ再び行くことが

できるかも…と思った。

だけどどんなに念じても

なにも起きない。

「異世界の少女よ」

私が途方に暮れていると

急に男性の声が聞こえた。

「誰?!」

「私はローレライ」

そう言って目の前に現れたのは

アビスのエンディングで見た

ローレライだった。

オレンジの音素が

人の形をしている。

「なぜ、ここに?」

「お前がこの世界で

超振動を起こすのは

不可能だ。

だが私ならできる。

ジェイド・カーティスのところへ

戻りたいか?」

「もちろん!

でもなんで

私達の事を知ってるの?」

まるで私達の一か月を

見てきたかのような

ローレライの言葉に

疑問を感じた。

「あの男には世話になった。

だから誰よりも彼を愛する

お前の元へと送った。

幸せな二人を見られて

私も楽しかった。

お前が超振動を起こすとは

思わなかったが…」

「ならお願い!

ジェイドの元へ帰して」

私はまた涙を流してしまう。

「その前に今一度

お前の気持ちを確認したい。

お前にとって

ジェイドはどんな存在だ?」

「それは…」


A.愛する人
B.大切な人

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