第十四話「第七音素」


今日はジェイドの休日。

自宅でランチを一緒に作ろう!

ってことになって

ジェイドがパスタをゆでて

私がブロッコリーを切っていた。

なんだか…

本当に幸せだなって思う。

一か月前はまだ

ジェイドは遠い世界の人だったのに。

出会って、恋をして

両想いになって

オールドラントへ来た。

もしも願いが叶うなら

いつか…

「いたっ!」

考え事をしていたら

左の人差し指を

包丁で切ってしまった。

「大丈夫ですか?」

「うん…ちょっと血が出てけど…」

「見せてください」

ジェイドは有無を言わさずに

私の手を掴み、傷を見ると

「じぇ、ジェイド?!」

指ごと口に含んだ。

そして血をなめとるように

指に舌をはわせた。

それだけで電気がはしったような

感覚があって

私は恥ずかしくて

何も言えなかった。

「あとは絆創膏をすれば…」

「へ、平気だよ。こんなの…」

なんとなく傷がある左手を

右手でおおうように隠すと

「え?」

右手が青く光った。

でもそれは一瞬で

気のせいかな?と右手を見ていると

「傷が…ふさがってますね」

ジェイドは私の左手を

もう一度つかんだ。

「え?本当だ!なんで?」

「おそらく第七音素でしょう。

貴女は第七音素の素質があるらしい」

私の手を持ったまま

ジェイドはそう言った。

「そう、なんだ…

あ!じゃあ!

ジェイドのこの間の傷も…」

私は先日の

ジェイドの腕の傷を思い出し

その腕に手をあてた。

するともう一度右手が光ったのだが

今度は違う。

「なに?」

きーん!と音がした。

「未来!やめなさい!

超振動だ!!」

ジェイドが異変に気付いて

私から離れたけれど遅かった。

私の体が光り…

「う、うそ…」

気がついたら地球にある筈の

懐かしい部屋に一人でいた。



第十五話へ続く

前のお話 次のお話

TOPへ戻る

しおりを挟む