第二十二話「神託の盾本部」


第七譜石を利用したジェイドの作戦は成功し

未来達は神託の盾本部へ潜入した。

「なんとか潜り込めたわね」

広い室内を見渡し、未来は短剣を構えた。

いつでも兵士に見つかっても

いいようにしないといけないからだ。

「アニス、二人がいる場所は?」

「わかんないよ。

しらみつぶしに捜さないと…」

未来の問いに、アニスは首を横に振った。

「んなことしてたら、みつかっちまうぞ」

ルークは慌てた。

「なるべく目立たないようにするしかないわ」

ティアも近距離で攻撃できるように

ナイフを取り出した。

「そうですね。

敵に見つかったら新手を呼ばれないよう

確実に息の根を止めなければなりませんから」

「気が重いな」

容赦がないジェイドの言葉に

ルークは自分の剣を見てつぶやいた。

「ルーク大丈夫なの?

また人を殺さないといけないのよ」

「ああ、決意はしている」

未来は心配したが、ルークに迷いはなかった。

「けど、心配してくれて…

ありがとう、未来」

「あ、ありがとう?!」

初めて聞くルークのお礼の言葉に

未来は驚いた。

「そろそろ行きますよ」

そんな二人をジェイドは急かした。


幸い、神託の盾兵と戦闘にはならず

一番奥の部屋にたどりついた。

「イオン!ナタリア!無事か?」

部屋のドアを大きく開けたのはルークだった。

思わず大きくなった声に

神託の盾兵がやって来ないかと

未来とジェイドは

念のため入り口で警戒をした。

その間にも話は進み

ヴァンが来ないうちに全員で逃げることになった。


「追っ手は来ないみたいだな」

ガイがそう言った通り

誰かが追いかけてくることはなく

無事にダアトから脱出できた。

「イオン様、大丈夫ですか?」

「だいじょうぶ、です…ありがとう、未来」

呼吸が荒いイオン様を未来は心配したが

イオン様は笑った。

「でもぉ、この後どうしますかぁ?」

一方でアニスの緊張はほぐれない。

「私はセントビナーが崩落するという話も

心配ですねぇ」

「それならマルクトのピオニー陛下に

お力をお借りしてはどうでしょう」

ジェイドの言葉に

イオン様は思いついたように話し出す。

「それは名案ですね。

もしルグニカに崩落の兆しがあるなら

我がマルクト軍にも、情報は届いているはずです」

未来も頷いた。


「グランコクマって、どの辺になるんだ?」

ダアト港にたどりついて、ルークが確認した。

「ここから北西だよ」

「確かグランコクマは戦時中に要塞になるよな。

港に入れるのか?」

「よくご存じですねぇ。そうなんです」

ガイはジェイドを見て、ジェイドも頷いた。

「今はまだ開戦してませんよ?」

「でもそれくらいの緊張状態なのよ」

未来はアニスに諭すように言った。

「ジェイドと未来の名前をだせば

平気なんじゃねーの?」

ルークがそう言うが、二人の軍人は頷かない。

「今は逆効果でしょう。

アクゼリュス消滅後以来

行方不明の軍人達が登場するのですから」

「それも部下を全て死なせた挙げ句

何者かに拿捕された陸艦で、ね。

攻撃されてもおかしくないわ」

未来は助けられなかった部下を思い出し

ため息をついた。

そしてイオン様とティアの提案で

タルタロスを工事中のローテルロー橋に接岸させ

徒歩でグランコクマに向かうことになった。

「うは…歩くんだ…」

「アニス、愚痴っている場合ではないでしょう。

まあ、トクナガに乗るって手もあるけれど…」

「あ!それいただき!!」

未来の冗談半分な提案に、アニスは喜んだが

「はいはーい!若い子は運動しましょうね」

ジェイドに笑顔で却下された。

「アホか…」

「戦争止めなきゃいけないのに、のんきだな〜」

そんな三人を見て、ルークとガイはあきれた。



to be continued

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