第六十九話「プラネットストーム」


預言会議のために訪れた

ユリアシティでもバチカルでも

レプリカがそこらじゅうにいた。

バチカルでは「化け物だ」と

殴られるレプリカまでいる。

インゴベルト陛下も頭を悩ませているようだった。

そんな陛下にルークは

ナタリアの父はラルゴで間違えないことを

報告した。


「本当に、どうしたらいいのかしらね。

ナタリアとラルゴ…」

会議のために不在のナタリア以外のメンバーが

城から出たところで

未来がぽつりとつぶやいた。

「それも考えなくてはいけないけれど

とにかく今は

プラネットストームをどうするか、ね」

ティアも立ち止まって考え込むように

下を向く。

「私達もマルクトの総意をまとめるよう

皇帝陛下に進言しましょう」

「そうね」

ジェイドと未来は二人で歩きだし

「あ。アルビオールはお借りしますよ」

語尾にハートがつきそうな声で

ジェイドはルークに微笑んだ。


アルビオールは障気が満ちた空を飛んだ。

「ジェイド…あの…」

アルビオールの中で未来は

ガイからもらったペンダントを思い出した。

ジェイドの絵が欲しかったが

なんとなくガイからもらったとは言いにくく

言葉につまってしまう。

「どうしたのですか?未来。

キスでもしてほしいのですか?」

「え?!」

ジェイドの言葉に操縦士のノエルが

思わず一瞬だけだが振り向いてしまう。

「ノエル?!聞いてたわよね」

人一倍恥ずかしがり屋の未来は焦った。

「い、いえ…私は操縦に集中していて…。

でもお二人って本当に仲がいいですよね」

ノエルは慌てて否定したが

「ノエル。

それでは聞いていた否定になりませんよ?」

にやけたジェイドに指摘される。

「す、すみません!」

ノエルが謝った時、グランコクマに到着した。


「プラネットストームを失えば

ほとんどの譜業と譜術は失われる」

グランコクマの謁見の間に

ジェイドの声が響く。

「だからといって

音素の全てが消える訳ではありません。

限られた音素を

新たに有効利用する方法を探ればいい。

違いますか」

「未来の不便を想像している暇はねぇだろうな」

ピオニー陛下はうなずき

「なにしろ、未来がなくなるかも知れねぇんだ。

プラネットストームを止める方が

合意的な考え方だと思うな。

未来はどう思う」

今度はジェイドの隣の未来を見た。

「もちろん、私も陛下のお考えに賛同します。

プラネットストームを今停止しても

数年は今のままの筈ですから

それまでに他の方法を見つけるのは可能です」

未来の凛とした声が謁見の間に響いた。


「じゃあな、未来にジェイド。

お前たちの方が先にダアトに着くのだろうな」

ピオニー陛下がダアト行きの船に乗るのを

未来達は見送る。

ピオニー陛下は船に乗ろうとしたが

もう一度、未来を見た。

「陛下?」

「そういや、お前達を祝福するのを忘れてた。

祝いの品を考えておいてくれ」

にやりとピオニー陛下が笑った。

「お祝いって…」

「いや〜陛下。気が利きますね」

未来は慌てたが

ジェイドはいつものよに笑うだけだった。




to be continued

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