第十話「バチカル到着」


バチカルに着いたルーク一行を迎えたのは

ゴールドバークとセシル少将と

名乗った二人だった。

ルークとガイ以外の全員も名乗っていく。

「マルクト帝国軍第一師団所属

未来中佐です。

陛下の名代として参りました」

「貴公があの堕天使未来?!」

未来が言うと、セシル少将が驚いた。

「まさか…隣にいるのは死霊使いジェイド?」

「そうです。

ケセドニア北部の戦いでは

セシル将軍に痛い思いをさせられました」

「ご冗談を…私の軍はほぼ壊滅でした」

ジェイドとセシル少将が

そんな嫌味を言い合った。

「皇帝の懐刀大佐

そして神を超える力があるとされる中佐が

名代として来られるとは…

なるほどマルクトも本気という訳ですか」

「国境の緊張状態が

ホド戦争開戦時より厳しい今

本気にならざるを得ません」

「マルクトの誠意を

ご理解いただければと思います」

ジェイドも未来も頷いた。

「おっしゃるとおりだ。

では…」

歩き始めたゴールドバークを、ルークは止めた。

「待ってくれ!

俺はイオンから

叔父上への取次ぎを頼まれたんだ。

俺がイオンを城へ連れて行く!」

きっぱりと言ったルークに

「ありがとう。心強いです」

「ルーク、見直したわ」

イオン様とティアは嬉しそうだった。

「ルーク…!」

陛下への取次ぎをルークに促した

ジェイドと未来も

ルークの言葉には驚いた。

「う、うん…まあ…それより、行くぞ」


ルークを先頭に未来達は

天空客車に乗った。

「ここが…バチカル?」

「なんだよ。初めてみたいな反応して」

ルークは街の景色を、珍しそうに見た。

「仕方ねぇだろ!覚えてねぇんだ!」

「そうか…。

記憶失ってから、外には出てなかったな」

ガイはルークに同情した。

「すっごい街!縦長だよ!」

「チーグルの森の何倍もあるですの」

「ここは空の譜石が落下して出来た

地面の窪みに作られた街なんだ」

はしゃいだアニスとミュウに

ガイが説明をする。

「ところで未来。黙ってどうしたのです?」

「え?!いや…その…」

ジェイドに指摘された未来は、焦りだした。

「あ!

未来って、もしかして

高いところが怖いの?」

アニスは未来をつついた。

「おやおや。軍人なのに、困りましたねぇ。

私が手をつないであげましょうか?」

コーラル城の時以上に、ジェイドは面白がった。

「け、結構です」

未来は慌てて首を振った。


そうして、遂に未来達は

和平の使者として

バチカルの城へ到着したのだった。


to be continued

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