第六十七話「新生ローレライ教団」


「モースの声!」

「なんだ?どこから聞こえるんだ?」

アニスとルークが辺りを見渡し

「わかりません。

…空のようですが…」

「まさかさっきの空に浮かんだ島から?」

ジェイドと未来は空を見上げた。

モースは自分が

新生ローレライ教団の導師だと名乗り

栄光の大地エルドラントを建設したと

高らかに宣言する。

預言をないがしろにした両国に

謝罪を降伏を要求し

それが叶わぬ時は武力行使もやむを得ない。

その場合、国民は反旗を翻せとも言ったが

モースの話し方は異常だった。

「まずい…市民が暴動を起こしかねないわ。

それにしてもあの喋り方は…」

未来は顔をしかめた。

「ええ、モースの精神汚染は

始まっているようですね」

第七音素を取り込んだモースは

理性を失いつつある。

未来達はピオニー陛下の謁見の間へ急いだ。


ピオニー陛下はエルドラントへの攻略を

未来達に頼み

ナタリアが提案した預言についての会議も

了承してくれた。


「ねえ、みんな…

ちょっと外れてもいいかしら?」

謁見の間から出て、未来は改まった。

「どうしたんだ、未来」

ルークが不思議そうに彼女を見つめる。

「マルクトの軍基地の様子を見たいの。

私の部下たちがモースの演説に

どう反応するか心配で」

「未来は部下想いなのですね」

「だから兵士達にも慕われているんですよ。

私も未来のそういう噂は

旅の前から聞いてました」

ナタリアもジェイドも未来に尊敬をした。

「俺達はここで待っているから

行ってきたらどうだ?」

「ありがとう、ガイ。

すぐに戻るから」

未来は走り出した。


第一師団は未来の予想以上に

混乱していた。

ざわざわと兵士達の話し声が絶えず

全員が不安な顔をしている。

「みんな!落ち着いて」

そこに未来の凛とした声が響き

兵士達は一瞬で静かになった。

「未来中佐!

さっきの演説は…」

「ええ。あなた達の気持ちはわかるわ。

でも私達は新生ローレライ教団に対抗します」

「し、しかし!それでは預言が…」

兵士達が再びざわつく。

「もう預言は頼りにならないわ。

私の仲間であるみんな。私達を信じて」

未来の顔には迷いがなく

そこにいた全員が敬礼をした。

「未来中佐がそこまでおっしゃるなら…」

「我々は協力を惜しみません」

「ありがとう」

未来が安心したその時

「未来?そろそろ行きますよ」

「ああ、ジェイド。

待たせちゃったわね、ごめんなさい」

未来はジェイドと一緒に出て行った。

「未来中佐!」

「俺らのマドンナが…」

「カーティス大佐といつの間に…」

幸せそうな未来達に

兵士達は今度は落胆した。



to be continued

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